愛知県知多市にある「名古屋港海づり公園(通称:知多堤)」は、1959年に東海地方を襲った伊勢湾台風の高潮被害を契機に建造された高潮防潮堤です。立ち入りは禁じられていましたが、伊勢湾に突き出した約1.3kmの防潮堤は格好の釣り場として人気を集め、多くの釣り人が釣りを楽しんでいました。前打ち釣法発祥の地とも言われています。
1992年、多くの釣り人の念願が叶い、伊勢湾高潮防潮堤は身体の不自由な方が車椅子でも入れるバリアフリー施工までなされた海釣り公園として一般開放されました。その施設は素晴らしいの一語に尽きます。元が高潮防潮堤なので足場の高い釣り場ですが、テラスと転落防止柵が設置され、救難設備として救命浮き輪とロープが96ヶ所、緊急通報設備が20ヶ所、夜間照明が42基、休憩用ベンチ、ゴミ箱も随所に設置され、ゴミ回収も定期的に行ってくれます。基部と中程の2ヶ所には水洗トイレがあります。管理棟には風速計があり、風速10メートルを超える強風時には、釣りを中止して退避するように勧告放送がされるなど、目に見えない部分にも行き届いた配慮がなされています。潮風にさらされる海釣り施設ですから、設備には腐食や劣化に強い高規格材料が使用されています。さらには防潮堤の内外両側に人工漁礁ブロックが沈められ、多くの魚が着くように図られています。年中無休24時間開放、入場無料、自動販売機や売店完備、管理者常駐の海釣り公園は、私の調べた限りでは、全国でこの名古屋港海づり公園と、静岡県の浜名湖にある「新居海釣り公園」しかありません。新居海釣り公園もT字型の釣り桟橋が設けられ、バリアフリー構造、防護策や安全設備完備の素晴らしい施設です。
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