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立禁解除! 防潮堤が釣り公園に!

 2004年7月1日の改正SOLAS条約の発効に伴う港湾部の保安対策強化により、港湾部の多くの釣り場が実質的に閉鎖されました。陸っぱりファンにとっては痛恨の極みですが、貿易立国である日本の国益を考えれば、涙を呑んで従わざるを得ません。多くの釣り人の失望と怨嗟の声が聞こえてきそうですが、「海岸線の開放、水辺は国民の憩いの場」を謳っていた国土交通省や、各港の管理関係者も対応に苦慮していたでしょう。※参考「釣り場が消えた!!
  国土交通省の海岸線開放は掛け声だけではありません。立ち入りが禁じられていた高潮防潮堤が、年中無休24時間開放、入場無料の海釣り公園として開放された例があるのです。
マジで? どこにあるン?

名古屋港海づり公園管理棟 愛知県知多市にある名古屋港海づり公園(通称:知多堤)」は、1959年に東海地方を襲った伊勢湾台風の高潮被害を契機に建造された高潮防潮堤です。立ち入りは禁じられていましたが、伊勢湾に突き出した約1.3kmの防潮堤は格好の釣り場として人気を集め、多くの釣り人が釣りを楽しんでいました。前打ち釣法発祥の地とも言われています。
約1.3kmの釣り公園 1992年、多くの釣り人の念願が叶い、伊勢湾高潮防潮堤は身体の不自由な方が車椅子でも入れるバリアフリー施工までなされた海釣り公園として一般開放されました。その施設は素晴らしいの一語に尽きます。元が高潮防潮堤なので足場の高い釣り場ですが、テラスと転落防止柵が設置され、救難設備として救命浮き輪とロープが96ヶ所、緊急通報設備が20ヶ所、夜間照明が42基、休憩用ベンチ、ゴミ箱も随所に設置され、ゴミ回収も定期的に行ってくれます。基部と中程の2ヶ所には水洗トイレがあります。管理棟には風速計があり、風速10メートルを超える強風時には、釣りを中止して退避するように勧告放送がされるなど、目に見えない部分にも行き届いた配慮がなされています。潮風にさらされる海釣り施設ですから、設備には腐食や劣化に強い高規格材料が使用されています。さらには防潮堤の内外両側に人工漁礁ブロックが沈められ、多くの魚が着くように図られています。年中無休24時間開放、入場無料、自動販売機や売店完備、管理者常駐の海釣り公園は、私の調べた限りでは、全国でこの名古屋港海づり公園と、静岡県の浜名湖にある「新居海釣り公園」しかありません。新居海釣り公園もT字型の釣り桟橋が設けられ、バリアフリー構造、防護策や安全設備完備の素晴らしい施設です。

利用規則がうるさそうだなぁ
ゴミのない釣り場 ここまで至れり尽くせりの釣り施設となると、さぞや堅苦しい利用規則に縛られていると思われそうですが、名古屋港海づり公園は先に述べたとおり、年中無休24時間開放、入場無料(駐車料金1回500円)です。利用規則は出す竿は2本まで、団子釣りの禁止くらいで、安全と環境に配慮して釣りをしてくださいという程度です。
 管理者は施設や安全設備管理と環境保護への配慮だけ、あとは利用者に任されています。それでも開設以来、落水や転落による釣り人の死傷者は一人も出ていません。管理者の責任と、利用者の責任が見事に果たされている結果と言えましょう。
 肝心の釣果ですが、前打ち釣法発祥の地と言われる場所だけあって、クロダイの実績はもとより、スズキ、タチウオ、マゴチ、マダコ、メバル、カサゴ、アイナメ、カレイなどの多彩な釣魚に恵まれ、まさに名古屋ッ子の釣り道場と言っても過言ではありません。
 この名古屋港海づり公園は、運輸省第五港湾建設局(現:国土交通省 中部地方整備局 港湾空港部)によって造られ、管理は財団法人名古屋港緑地保全協会が行っています。釣りは老若男女を問わず、誰もが楽しめる国民の代表的レジャーであり、自然と人を結ぶ文化です。釣り公園は公共のレクリエーション施設として、多くの人々が気軽に利用できる点からも公共性の高い施設と認められたからこそ、税金を投じて作られているのです。 
だったら全国に造ってくれねぇか?
 現在、釣り人の立場は非常に厳しい状況にあります。改正SOLAS条約による規制だけではありません。神奈川県の馬堀海岸では、地域住民のみなさんから「釣り人は迷惑で危険な存在」としての反発を買ってしまい、釣りは完全禁止と決定されてしまいました。ゴミ放置、違法駐車、水辺や歩道の占拠、投げ釣りやルアー投入時の危険、というのが主な理由ですが、「釣り公園が近くにあるのだから、釣りがしたければそちらへどうぞ」という意見も出ています。これではまるで、愛煙家が肩身の狭い思いをしている姿と同じではありませんか。公共スペースを海岸に、禁煙を釣り禁止に、喫煙場所を釣り公園に置き換えてみてください。このままではいずれ、釣り人は世間の片隅に追いやられてしまいかねません。こうなったらいくら熱望しても、国民の憩いの場である水辺が釣り人に開放されるはずはありませんし、多額の税金を投じて新たに釣り公園が造られるはずもありません。まして世論がそんな事を許さないでしょう。※参考「釣り人は嫌われ者!?
 少し大げさな言い方かもしれませんが、私たち釣り人は釣りという素晴らしい文化の継承者であり伝承者です。古くは江戸時代の「生類憐れみの令」によって釣りを禁じられても、近代においては公害による水質汚染や埋め立てによる釣り場の消失をも乗り越えて、釣り文化は連綿と受け継がれてきました。この素晴らしい釣り文化を未来に継承していくためにも、海岸線の開放が進められ、文化伝承の拠点として全国に釣り公園が整備されるよう、私たち釣り人自身が行動を見直し、責任を果たすべき時です。私たちは文化の担い手なのですから。
釣り公園、釣り護岸など釣り施設が続々オープン!
'04年10月、「福島県に新設釣り公園誕生!!
'05年2月、愛知県常滑市中部国際空港前島釣り護岸開設
'06年4月、静岡県熱海港海釣り施設開設
       '02年10月の高波事故で頓挫していた計画が復活。
       総工費約七千三百万円。

取材協力:財団法人名古屋港緑地保全協会・名古屋港海づり公園