2004年11月10日、神奈川新聞に下記の記事が掲載されました。
【神奈川新聞 2004年11月10日掲載記事】**************************************************************
−横浜港の防波堤で釣り人急増−
横浜港の防波堤で釣り人が増え、高波が来れば水中転落の危険が高いと指摘されている問題で、横浜市港湾局などの関係機関は十日、初の対策会議を開く。防波堤には、柵や手すりは設置されておらず、「立ち入り禁止区域」と明示されていないため、口コミで釣り場としての評判が広がっているようだ。会議には港湾局のほか横浜海上保安部、横浜水上署などが参加。各機関が把握する現状などの情報交換を行い、今後の対策に反映させる。同署が十月中旬、同局に対策を申し入れていた。
日常的に釣り人が見られるのは、市管理の防波堤のうち北水堤(同港内)、金沢材木ふ頭東防波堤(横浜市金沢区)など七ヵ所。今夏の花火大会では浴衣姿の観客が東水堤に大勢座り、中には幼児も。釣具店の渡し船などで渡っているとみられ、大半がライフジャケットを着けなかった。これらの防波堤は、市港湾施設使用条例で立ち入り禁止区域に指定されているが、港湾局は「まさか防波堤に人が渡るとは思わず、看板も設置しなかった。だが現在は放っておけない状況」との認識を示す。実際、横浜水上署が防波堤での釣り人を対象にした軽犯罪法違反(禁止区域等立ち入り)での検挙数は増加傾向だ。二〇〇四年一〜十月は前年同期四件(六人)の六倍にあたる二十四件(四十人)と激増。十一月は前年が一ヶ月間で六件(九人)だったのに対し、今年は八日現在ですでに八件(十四人)に上っている。
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横浜沖堤の短竿落とし込み釣りは、戦後まもなくから数十年に及ぶ歴史があり、最近になって釣り人がやって来るようなったわけではありません。まして渡船店は各都道府県水産課の営業許可を受けて渡船業を営んでいるわけですから、横浜市港湾局の「まさか防波堤に人が渡るとは……」という発言は、言い訳としても最低の部類です。本当に防波堤に人が来ると思っていなかったならば、数十年も現場の実情を知らずに港湾行政を司ってきたということですから、横浜市港湾局は職務怠慢を自白したようなものです。
縦割り行政の弊害で、横浜市港湾局と神奈川県水産課の連携が無いのは解ります。しかし、港湾局が他の行政部門へ累が及ばないように配慮するのならば、「台風の接近も多く、水難事故防止の観点から沖防波堤の管理体制を見直す」とでも述べていれば、保身や責任逃れではなく、市民の安全という観点から規制を考えていると印象づけられたはずです。この論理で来られたら、釣り人も軽々には騒ぐ事は出来ません。事故防止に向けて安全対策や自己救命策を考えるようにもなるでしょう。
横浜市港湾局に苦言を呈しておきます。役所内での保身と責任逃れに汲々としているから、視野が狭くなり、市民感情に配慮する思考も停止する。「私たちは市民第一主義です」と感じさせる
"賢い言い訳"
も行政サービスの一つ。リップサービスだってサービスの内です。
さて、行政批判はともかくとして、2004年7月1日に改正SOLAS条約が発効し、国内法として「国際船舶・港湾保安法」が施行され、全国の港湾部で多くの釣り人が締め出されました。
※参考「改正SOLAS条約で釣り場が消えた!!」
「改正SOLAS条約発効、その後……」
この他にも釣り人の心ない行動(迷惑駐車、ゴミ放置、水辺の独占、危険行為など)により、釣り禁止が決定された護岸もあります。
※参考「釣り禁止! 釣り人は嫌われ者!?」
事故の多発によって沖堤への渡船が中止された前例もあるんです。北海道苫小牧東港沖防波堤で釣り人の転落事故が多発したため漁業組合が渡船を自粛しました。
※参考【苫小牧東港昭栄丸WEBサイト『沖防船渡し一時中止について』】
この場合は行政が規制に乗り出す前に、自粛という形を取ったため全国に波及するような事態にはなりませんでしたが、地元釣り人にとって釣り場を失った痛みは変わりません。
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