中部国際空港周辺の釣り!!

中部国際空港周辺の釣り解禁だでよ!
2004年10月1日愛知県常滑市の中部国際空港周辺北側と西側が、12月28日には東側海域も航行制限が解除され、中部国際空港周辺海域は漁業操業やボート釣りが可能になりました。
陸っぱりファンには、空港島対岸の常滑市りんくう町前島護岸が開放されています。
名古屋市街から1時間圏にありながら、近くの多屋海岸にはアカウミガメが産卵にやってくる好環境地域です。

埋立地だで荒れとれせんきゃぁ?
着工前から海流に及ぼす影響や、魚類の生態系への影響など、環境問題はいろいろと取り沙汰されていましたが、海流への影響を軽減する設計構造となっており、護岸には捨て石を入れ、周辺には魚たちの産卵床となる藻場を作るなど、環境に配慮した設計になっています。
大型のスズキ、クロダイ、アナゴなど伊勢湾を代表する魚類の大量生息が確認されています。
巨大人工魚礁とも言える空港島に着いた魚の誘導魚礁を、知多半島周辺14ヶ所に設置する工事も進められています。


そりゃエエがや、みんなで行こみゃーか!
みんなで行くのはいいんですが、空港島護岸への上陸や係留は禁じられていますから、船からの釣りに限定されます。空港島からの陸っぱりは立ち入りが禁止されているので不可能。空港島の岸壁でのんびりファミリーフィッシングという事は出来ません。マイボートか、ガイド船からの釣りになります。ファミリーフィッシングは、陸側のりんくう町の前島護岸が釣り可能な親水護岸となっています。

漁師さんとトラブルになれせんきゃ?
職漁船も遊漁船もプレジャーボートでの釣りもできるわけですから、無秩序に釣りまくったら釣り場の魅力(魚影)はすぐに薄れてしまいます。藻場の保護のため、護岸から35m範囲内は職漁でも網の使用は禁じられています。沖合には定置網などが設置される可能性もあり、陸寄りには冬季はノリ網が設置され、夏季は潜水漁が行われます。航行の際は注意が必要です。
事故やトラブルを避けるため、海事規則を守り、明文化されていないマナーも守りましょう。

あっぶねゃーでかんわ〜!(2005年6月23日追記)
5月1日〜8月31日まで、周辺海域ではタイラギなどの潜水漁が行われます。潜水漁業操業中の船の近くには漁師さんが潜っていますから注意が必要です。
鬼崎漁協の竹内組合長に現状を伺ったところ、潜水漁の漁船が集まって操業していると、釣りの好ポイントだと勘違いしたプレジャーボートが、喜々として接近して来る事があるそうです。
「潜水漁やっとるで、近づいてはイカンよ〜ッ!」
と警告しても、潜水漁をしていることを知らずに
「なんでゃー、タァケー! ゴが湧くわ。
 漁師が威張りくさって、海を独占しやがって!」

と逆ギレされる事もあるそうで……。
鬼崎漁協では、潜水漁操業中の船には左の写真のように潜水中の旗を立て、潜水漁業の標識を付けています。
事故やトラブルを避けるためにも、沿岸域でどのような漁業が行われているかを理解しておきましょう。

トラブルが起きてまっとるがや!
(2004年11月11日追記)
解禁されて1ヶ月程度でトラブルが発生してしまいました。釣り人の歓声とは裏腹に周辺の漁業者からは怒りの声が上がっています。知多半島はノリ養殖の盛んな地域で、沿岸部のほとんどにノリ網が設置されています。このノリ網がプレジャーボートによって破られる、ノリ網をつないでいるロープが切断されると言った漁業被害が発生しているからです。多くの釣り人がやってくれば、周辺地理に詳しくない人も増えるのは道理。ノリ網設置区域表示ブイに気付かず、設置エリアに乗り入れてしまうようです。特に夜間航行では事前に設置エリアを理解していなければ乗り入れてしまう例も多くなります。 


※空港島周辺工事区域図を中部国際空港株式会社の許可を得て加筆掲載 禁無断転載
一般にノリ養殖は『ノリヒビ』という杭を多数打ち込んでノリ網を張るものと思われていますが、沖合側では海面下にノリ網を流す『浮き流し網』という方法が取られています。レーダーにも映らない場合が多く、ブイを見落とすと引っ掛けてしまう可能性が高いので、ノリ網設置エリアを充分に理解しておきましょう。
また、空港島周辺の自然条件も頭に入れておく必要があります。知多半島伊勢湾沿岸は冬季を除き、晴天の日は日中から日没後2時間くらいまでは西寄りの風が吹く日が多くなります。西風を避けて伊勢湾奥方面の北へと進路を取ると、風裏になる空港島東側航路を選ぶことになりますが、東側航路からそのまま北へ直進するとノリ網設置エリアにぶつかってしまいます。空港島連絡橋の下を抜けたら、空港島北側の「進入灯管理橋」を目標にして西側に進路を取ってノリ網設置エリアを迂回しましょう。

ルールやマナーは守らな、だちかんよ
2004年4月1日に常滑海上保安署が新設されています。海上保安官8名と巡視艇「しらゆり」が配備され、テロ対策から密漁、密輸、密航の摘発、救難活動や海洋レジャーの安全指導まで周辺海域の安全を守っています。許可水域以外の場所に釣り人のプレジャーボートが侵入していないかの巡視も行います。事故やトラブルが多発すると遊漁禁止になってしまう可能性もありますから、ルールやマナーを守り、指示や指導を受けたら速やかに従いましょう。
ボート免許の取得条件も緩和され、マリンレジャーはいっそう身近になりました。しかし、海を利用する上で守らねばならないルール、法令に定められていなくとも守るべきマナーは数々あります。生活の糧を得る大切なノリ網や定置網を破られる被害が続けば、漁業者の方々に大変な経済的損失と、網の修理・再設置というご苦労を強いることになります。また、潜水漁をしていて、警告を出しているにも関わらずプレジャーボートの接近によってケガを負ったり、危険を感じて漁が出来なくなったとすれば、その怒り、苛立ちの矛先は迷惑行為の加害者本人だけではなく、『釣り人全体』に向けられるのも無理はありません。
前島護岸も石積みの隙間やスロープの隅など、人目に付かない所にはゴミが一杯!
ゴミの放置はその釣り場に来る釣り人の民度、モラル意識の低さの証明します。
私たち釣り人は、遊びであるからこそ、自らを律する心を持たなければなりません


取材協力:中部国際空港株式会社常滑海上保安署、鬼崎漁業協同組合

 Fishing has now become a craze.